ちょうど、世間がコロナで騒がしくなってきていたころ、「コミュニケーション心理学」というものを学んでいて。(それが何なのか明確な定義があるのかは分からないけれど笑)
カラダとココロをつなぐ著書をたくさん出されているおのころ心平さんが、珍しくカラダ以外の講義をやっていて、なんとなく面白そうだったので受講することにした。
全4回のセミナーだったのだけれど、コロナで日程が延期になったこともあり、内容がかなーり盛りだくさん!
と言うことで、自分の頭の整理も兼ねて、ブログにつづることにしました。
人間にとってコミュニケーションはなぜ必要か?
そもそも、私たちにとって、なぜコミュニケーションが必要なのか?
それは、脳の中の更新をはかるためだそう。
人間は日々5万回もの思考をしている。
呼吸が常に吸って吐いてして外気との情報交換をしているように、私たちはコミュニケーションによって自分の脳内言語空間を更新しているのだ。
私たちのカラダは、入力と出力のバランスでできている。
例えば、食べ物を食べて、便として出すように。
何かを見て、感じたことを言葉にするように。
入力 | 出力 |
食べ物 | 便 |
飲み物 | 尿 |
呼吸(吸う) | 呼吸(吐く) |
温度 | 運動エネルギー |
光(画像) | 感情表現 |
音・言葉 | 自己表現 |
情報 | 体の症状 |
(集中ー交感神経) | (解放ー副交感神経) |
このように、常に私たちのカラダはエネルギーの出し入れをしている。
そして、それらは、ただ通過するだけでなく、出力されるときには意味を与えられている。
わたしたちのカラダは、ある意味環境における通過点であり、カラダの症状も自己表現のひとつなのだ。
私たちは気づかないうちに、自分だけの思い込みを持っている。
しかし、思い込みというのは自身の成長や、時代とともに更新する必要があって、さらに思い込みは脳内で起きていることだけではなく、カラダにもよくないのだと言う。
脳の電気信号は、右脳→左半身、左脳→右半身と送られるが、脳内をきちんとアップデートしていかないと、古い電気信号パターンでカラダをしばり続け、変化する社会をキャッチアップできないカラダになってしまうというのだ。
コミュニーションによる脳の上書き更新は、結局健康のためにもすごく重要ということ。
自分の常識をアップデートしていくには、他人の脳とコミュニケーションしながら概念を変えていくことが必要になる。
そしてそれは相互作用。黙っているだけでは、お互いに脳の上書きはできない。
いろんな人と出会って、いろんな価値観を受け入れ、自分の大事なものはちゃんと残しながら上書きしていくことが必要なのだ。
今思えば、旅は自分の価値観を常に再定義して、コミュニケーションの上書きをしてくれるのかもしれない。
自分にとっての「日常」から飛び出すことで、いつもいかに自分が決まった枠組みで見てしまっているかに気づき、自分にとっての当たり前は誰かにとっての当たり前ではないということを思い出す。
だから、私は、いくつになっても旅をしたい、そう思うのかもしれないな。
4つのテーマ「傾聴」「質問」「行動変容」「バウンダリー」
全4回はそれぞれテーマが掲げられていて、詳しくはそれぞれ掘り下げるけれど、内容としてはこんな感じでした。
傾聴の心理学
- わたしたちの脳は、人の話を「自分が解釈しやすいように聞く」クセがある
- 「傾聴」とは、本来、相手が何を言いたいか、聞いて欲しいかの優先順位をいかにキャッチするかということ
- 「モノの見方」と同じように、人には「聞き方」や「聴き方」に個性があるため、知らず知らずに自分の価値基準というフィルターで、相手の真意を聞き逃してしまうことがある
- 「聞き方」の個性は、あなたがこれまで生きてきて、聞いてきたこと、それを元に深く考えてきたことが反映されている
- 傾聴を深く突き詰めれば、自分の世界の捉え方の「偏り」が見えてくる
質問の心理学
- 質問の仕方こそ、コミュニケーションの肝である
- こちらが聞きたいことを聞くのではなく、相手が聞かれたい質問をいかにするか
- わたしたちは学校で先生に質問するという形でしか、質問の仕方を学んでいない(学校教育の教室で行われる質問とコミュニケーションにおける質問は違う)
- コミュニケーションでは、答えのないことを一緒に考える、旗を立てるという意味で質問を活用する
- 相手のハートを開き、相手の(普段あまり使っていない)脳回路を刺激する質問をする
行動変容の心理学
- 「やる気」は続かないけれど、「その気」になれば続いてしまう
- 「7つの健康習慣」は50年前からあるのに、いまだに人類は実践できていない。そこには人間は自分の習慣を簡単に変えられないという事実がある
- カウンセリングなど「非日常空間」で、深い気づきや印象深い心の体験をすることは大事だが、本当はそれ以上に、その気づきがどのように日常生活に反映されていくかが大事
- 日常の行動に「意識」をマーキングすることで、その瞬間に無意識の行動パターンが「意識化」される
- ひとつひとつの日常行動に変化のスイッチが入れば、心は確実に強く柔軟になっていく
バウンダリーの心理学
- コミュニケーションにおいて、ラ・ポール(クライアントとの相互信頼)や共感は大切だが、バウンダリー・オーバーが起きると自分を見失ってしまう
- 目に見えない人間関係のなかで「ここからここまでは自分の領域、そこから先はあなたの領域」ときちんと線引きをすることが大切
- 相手に合わせ過ぎ疲れているなら、共感力を最適化するためにバウンダリーを学ぶことが必要
- 世界はどうあれ、状況はどうあれ、置かれた立場はどうあれ、自分で自分の人生の意味を見出す
- 心理学の巨匠であるフロイト、アドラー、ユングらは人生の意味をどのように考え、「心」というものをどう捉えたのか?
離れることで「つながっていることの大切さ」を思い出す
おのころ心平さんは、ふだん淡路島に住んでいて、講演などで全国を巡っているのだが、あるとき家に帰る途中で、大雨の中で車がスリップしてしまい幽体離脱してしまったそう。
そのとき、ルービックキューブを分解したときに、ひとつのパーツを外すとバラバラっと全体が分解されるような感覚になり、自分が自分を見ているその視線だけが、自分と自分の肉体を結びつけている紐のように感じたそうだ。
一方で、視線の反対側からは、肉体と反対方向へ引っ張られるような強い力も感じたそう。
ただ、向こうの世界はとても優しい場所だと直感で分かり、そこはみんながつながり、お互いの意思が瞬時に伝わり、時間や空間の制限もなく、自由かつつながっている、とても暖かい場所だと感じたそうだ。
そしてふと思った。
だとしたら、なぜ自分は今までこの肉体に縛り付けられていたんだろう…?
ここからは出典が何なのかわからないのだけれど、そのとき紹介された文章を書き起こしてみた。
あなたにとってカラダとは何ですか?
手で触れること、言葉を喋ること、そして誰かを抱きしめること
それはカラダがないとできない
でも、言葉で気持ちを伝えるってとってもめんどくさい
言語はたくさんあるし、同じ日本語でも気持ちが通じないことがある
テレパシーなら一発なのに
あの世にいたら、触れ合うなんて、みんなつながっているから意味がない
カラダがあると、移動するのに足で一歩一歩歩かないといけない
カラダって面倒、人間ってなんて不自由、この世は面倒で不自由
でも、こんな不自由を選びとって、僕らはこの世に生まれてきた
言葉が通じないもどかしさを感じながら、それでも自分の気持ちを伝えるために
皮膚一枚で引かれた境界線を触れ合うことで超えられていけるって
それを感じに僕らはこの世にやってきた
僕らの目は宇宙からの光を感じ、僕らの耳はこの地球の振動を感じることができる
僕らの肌はこの世の温もりを感じ、僕らの鼻はこの地球のさまざまな命の香りを感じることができる
僕らの呼吸は地上の断片を吸い込む、僕らの胃と腸はこの地上の断片を味わう
生きているっていうことは、断片になったピースが僕らを通してつなぎ合わされ、そしてまた大きなひとつのパズルに戻っていくということ
僕を通ってくるピースはきっと僕色に染まる
そしてそこに新しい意味が生まれる
僕が僕であることは、ピースをつなぎ合わせて、この世のパズルをもっともっと楽しいものにつくり変えることができるってことだ
さぁ、感じてみよう、あなたのカラダ
あなたの吐く息がこの地球の大気を創っている
この地上のすべての生命が、呼吸を通じてそれぞれの内側の小宇宙を吐き出しあって、この地球の大気を創造している
さぁ、感じてみよう、その胸に手をあてて
あなたの鼓動、休まず働く、あなたのリズム
この地球上のすべての生命が、そのリズムを響かせあって、この地球に時間を生み出している
感じてみよう、あなたが誰かと出逢うこと
ワンピースを片手に、あなたのピースの形とぴったり当てはまる相手と、そっとその手を重ねあうこと
ワンピース、ツーピース、それはもっと大きなピースとなって、もっと大きな出逢いを引き寄せる
僕らはこの世につながっていることを取り戻しにやってきた
つながっていることの大切さを思い出すためにやってきた
つながりはそう、一度離れてみないとわからない
だから僕らはカラダを持っている
カラダがないとできないこと、めんどくさいけどカラダがなくちゃできないこと
触れ合うこと、言葉を交わすこと、そして誰かを抱きしめること
生きてるって尊い
それはきっと僕らから地球へのとても大切なギフト
たとえめんどくさくても、この人間のカラダでしかできないこと、その一つがコミュニケーション。
人間は一人では生きていけない、コミュニケーションの中で自分を発見していく生き物。
だから、コミュニケーションの本質は人間の本質に近いものがある。
自分を発見するために、いろんな人とコミュニケーションしていこうーー。
という締めくくりでスタートした、コミュニケーション講座。
コロナという分断された世界だからこそ、コミュニケーションを考えさせられるとても良い機会だった。
次回からは、講座の内容をまとめてご紹介していきたいと思います。