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質問力を身につける「質問の心理学」 コミュニケーション心理学#02

「問い」を立てるというのはとても答えに近づいていくプロセスなので、ぜひその習慣を持つべき、ということで、このときは事前の宿題があって。

文字制限を与えられると、思考が削り取られて明確になるので、脳の訓練にもなる。

1ヶ月の時を経て、自分がした質問を眺めたら、意外と解決したりしていて。

 

心理学においては、明確な答えというものはなく、状況にもよるため、質問が大事とされている。

相手が答えやすい質問にすることで、相手の能力を引き出すことができるから、だ。

相手との関係性をつくりだす大切な「きっかけ」だから、改めて見直したい。

「問い」こそが実は「答え」である

ある問いを立てると、思考を妨げている壁が突き崩され、問題が解決することがあるー。

 

日本の学校教育ではほとんどの人が問いの立て方を学んでいない、質問の仕方を習っていないのが現実だ。

コミュニケーションにおける自己表現、自己開示の力は欧米の方が圧倒的に訓練を受けている。

「問い」とは、自分がその現象についてどう考えるか、どう答えを導いていくかということ。

ブレインストーミングなど、曖昧にしていることを明文化することで、頭の中のモヤモヤがスッキリする。

問いを立てることに慣れていないと、問題が問題のままで変容せずモヤモヤが溜まっていってしまう。

 

問いによって、考えを進めるうえでの「前提」が一つ、または複数取り払われ、今まで見えていなかった広い世界で解決策を探ることができるようになる。

問いを発することで枠組みが広がり、答えがキャッチできる範囲が広がってくる可能性がある。

問いが思考の枠組みを変え、ブレークスルーを引き起こすかもしれない、ということだ。

 

創造性やイノベーションに関する著作で有名なスタンフォード大学ティナシーリグ教授は、枠組みの変更を強く推奨しているそうだ。

「問いはすべて枠組みであり、答えはその中に収まる」

人間は、自分が想定する枠組みの中に答えを見つけようとするが、そこに答えがないと悶々とする。

「枠組みを変えることで、解決策の幅は劇的に変わる」

問いの素晴らしさは、頭の中を整理することで枠組みの変更が起こること、だ。

 

アインシュタインの言葉にこんなものがある。

「もし問題を解決する時間が1時間あり、自分の人生がその問題の解決にかかっているなら、わたしは適切な問いを導き出すことに最初の55分間を費やすでしょう。
適切な問いがわかれば、問題は5分で解けるからです」

答えを出すよりも問いを立てる方がはるかにむずかしい。

それだけの時間をかける価値があるということだ。

私たちは、解答用紙と向き合いすぎて、「質問」と「回答」があまりにもセットになりすぎていないだろうか?

だとしたらそれは、「質問」の可能性を大きく見損なっているかもしれない、ということだ。

枠組みを認識することで、枠組みの外に答えを見出す

ものごとの枠組みを変えるには、自分とはまったく違う人物のことを思い浮かべ、その人物になったつもりで状況を眺めてみるといい。

自分の思考をスライドし、視点を変えてみると、思ってもみなかった答えが見つかることがある。

そういう「想像力」を本来人間は持っているのだから、その能力を活用していこう、という取り組みだ。

 

子どもだったら大人とは違う解釈をするかもしれない。

別の地方に暮らす人だったら、東京ですごく問題になっている答えの解決策を持っているかもしれない。

なんであの人はこんな言い方をするんだろう!と怒るでもなく、なぜ理解してもらえないんだろう…と落ち込むでもなく、自分とは根本的に違う固定観念に基づいて他の人は考えているかもしれない、と思うことで、自分の固定観念が見つかる可能性がある。

自分はこういうことにこだわっていたのか!と知ることがブレークスルーを引き起こす。

 

人間は根深い理由により、どうしてもいつも同じように考えようとし、よほど困ったことにならない限り、馴染みのある思考の枠組みを捨てようとはしないのだ。

人間は深く考えなくても今は文明的、文化的に生きていけるため、自分の人生を考えるときは、だいたい人間関係がこじれたとき、経済的に困ったとき、病気になったとき。

しかし、そこには万人に通用する答えはない。

世間一般の常識と違ったとしても、その場で答えを出していけることがセラピスト力。

誰かに答えを求めるのではなく、一緒にベターを探していくという心構えが大切。

昨日のコピーで生きていける時代、世の中だからこそ、向き合って問いを立てていくことが、新しい明日をつくり出すひとつの鍵になるのだ。

 

社会学者アミタイエツィオーニの言葉。

「破っちゃいけないルール、アイデンティティーや人格がコミュニティー内の人間関係の中で築かれる。
そして、わたしたちは自分の固定観念に意義を唱える『変化を起こす知識』を受け入れるより、『安定を保つ知識』に頼ろうとする」

自分たちの知識の枠組みに疑問を持つことは、無題に面倒を引き起こすことと思われている。

いったんコンセンサスが出来上がると、基本的な世界観についてであれ、自己の利益についてであれ、他者の見方についてであれ、あるいは戦略的な基本方針についてであれ、意思決定者にとって、それらの固定観念を覆すことは、政治的にも、経済的にも、心理的にも、大きな犠牲を伴うからだ。

しかし、固定観念は往々にしてタブーと化し、枠組みの中でしか答えが出せなくなり、変化を起こせなくなる。

問いは、思考の枠組みを変えまいとする、そのような抵抗の壁を崩すもっとも効果的な方法。

問いを用いれば、タブーとされていた領域が、力づくではなくそっと開かれて、個人レベルでも、集団レベルでも、当たり前とみなされていた考え方に誤りがなかったかどうか、再検討が促される。

変容を重ねることで、気づいた時には枠組みの外側にいて、これまで見えなかった選択肢が獲得できている、ということがあるのだ。

 

コロナで社会状況が変化している今は、ある意味ブレイクスルーのチャンスでもある。

日常を取り戻すのではなく、新しい日常をつくっていくこと。

枠組みを外していく勇気、本当に必要ないものは捨てていく勇気が求められている。

 

日本はクイズ番組が多い、スッキリ感が欲しいのかもしれない。

けれど、人生はすっきりすることばかりじゃない。

人生は多分、ずっと何かを抱えながらベターを見つけていくという営みなのだ。

 

<ワーク>今あなたが不思議に思っていることは?

私が1ヶ月前に出した質問はコレ。笑

「本当の望みを知るにはどうしたらいいんだろう?」

グループで話すことで、周りの人たちがそれぞれの経験でアイデアを出してくれて。

  • 自分が見た夢の中にヒントがありそう
  • 自分からやろうとしていないのに他の人から頼まれてやっていたことは?
  • 楽しい、ワクワクする感情が湧き上がってきたときに注目!
  • 色々なことをやってみると、自ずと答えが見えてくると思う(料理とか)
  • 夢中になるものの中に、自分がやりたかったことの片鱗が見つかるよ

いつも、答えは自分の中にある(というか、自分自身の問題は、自分の中にしかない)と思っていたけれど、外からヒントを見つけることもできると気づいた。

それはある意味枠組みを超えた、ということかもしれない。

(思考で掘り下げること)→(無意識の世界や、目の前にある状況や行動に気づく)

自粛生活の中で、自分フォーカス率が上がっていたけれど、今こそ、少しずつ変化していくタイミングかもしれない。

何を質問したかさえ忘れていたので、私こんなこと思ってたのか!という気づきもあったり笑

いろんな制限の中で不満も生まれたけれど、それこそが望みを浮き彫りにするフレームワークだと気づけたことは、私にとって大きかったかも。

自分で立てた問いというのは、自分の潜在意識や日常生活に影響を与えるもの。

おのころ先生に、

「もしかしたら、自分の問いができごとを引き寄せたのかもしれないね」

と言われて、ハッとした。

自分で自分に問いを投げかける、ということは、気づかないうちに、自分の人生に大きな影響を与えているのかもしれない。

相手のハートを開く「インスパイア・クエスチョン」

問いを立てるということはコミュニケーションの肝といっても過言ではない。

不用意な質問をする人はこちらが聞きたいことを聞きがちだが、それは相手に言葉を投げつけているようなもの。

言葉は手渡すものであり、質問が上手な人は相手を引き出す質問をするという。

 

私たちは学校で先生に質問するという形でしか、質問の仕方を学んでいないために、大人になっても実は質問の仕方がわからなかったりする。

場合によっては質問を「権利」と考えてしまい、こちらは質問し、相手は答えるべき、という構図を作ってしまう。

この姿勢は無意識のうちに質問者VS答弁者という対立関係を生み出してしまうので、注意が必要。

 

対話の場やカウンセリングでは、相手に共感し、一緒に考える姿勢で問いを立てる姿勢が大切。

  • 相手が聞かれたい質問を、いかにするかということ
  • 相手が自分ですら気づいていない自分の知りたいことを、相手に考えさせるきっかけをつくること

相手のハートを開き、相手の(脳のふだんあまり使っていない)脳回路を刺激する質問をインスパイア・クエスチョンと呼ぶ。

こういう問いかけを、自分の人間関係にまいておくと、世界がぐんと広がる。

あの人と話すとなんか楽しい、知らなかった自分の側面や、新しい視点を得ることができると感じてもらえるから。

(自分の内側が楽しいと感じられ、使ったことがない脳回路が刺激されるから)

これに、「すごいね!」と聞く傾聴の技術を組み合わせると、さらに可能性が広がっていく。

質問の意図、種類をうまく組み合わせて使っていくことが大切。

 

<ワーク:エンプティ・チェア>関係を改善したい相手との会話

これはゲシュタルト療法を代表する技法だそう。

  1. 椅子二つを用意して、向かい合わせて配置する(イメージでもOK)
  2. 椅子に座った自分の向かいの椅子に自分が話したい相手がいることを想定して対話する
  3. 相手に対して思っていることを伝える
  4. 相手が座っていると想定している椅子に座って、相手になりきって話す
  5. 元の椅子に戻って素朴な質問をする

新しい上司とうまくやれてなくて、向こう側に(エアーで)座ってもらった笑

  • 【私】私は今までやってきた経験もあるし、もっと自由にやらせてほしい
  • 【エアー上司】どこまで任せていいかわからない、どのくらいみんなができるかわからないので、つい口を出してしまう
  • 【私】わたしのことどう思いますか?
  • 【エアー上司】「もっと思っていることを伝えてほしい」(!)

そうなのか!と。最後の言葉は勝手に出てきて、自分でも驚いた。

実は、書いていないのだけれど、これをやる前は、正直人とちゃんと関わるってめんどくさい、向き合う余裕がないっていうコメントを残していて、でもやっぱりきちんと伝えないといけないのだなと改めて腑に落ちた。

孫正義さん「頭が、ちぎれるまで考えよう」

「僕らの脳は意識せずにいると適当な思考回路のまま、昨日と同じ今日を生きようとする。
ときどき混乱させてやることがないと、脳はこっちとあっちをつなぐ冒険を避けて、ショートカットばかりを選択しようとする。
逆に脳は混乱すると、秩序を求めて今までつかったことのない脇道(電気)回路をつなごうとする。
それによって柔軟な脳回路をつくっていく。
そうして初めて、ひらめきやアイデア、気づきが生まれる」

ソフトバンク孫正義さんの言葉だ。

では、どうやれば正しく脳を混乱させることができるのか?

「重要なことは、質問することをやめないことだ」

大人になっても自分に問いを立て続けたのがアインシュタインのすごさなのだ。

 

日常において、言葉は脳の中にとどまったまま、なかなか表に現れない。

思考に力を注ぐには、まず適切な「質問」を自分にし、それを言葉にしてみると良い。

そうすると、いつの間にか答えが出ている、ということは往々にしてあるのだ。

「相手に、興味・関心を持つ」それが最大の質問力

わたしたちは、質問をするときこんなことを思いがちだ。

  • どうやったらうまく質問ができるようになるのか?
  • 何かテクニックがあるのか?
  • このようなケースではどう質問すればいいのか?

その背景にあるのは、間違いたくないという欲求。

けっこう私も持ってしまいがちな感想だけれど、その欲求はさっさと捨ててしまった方が良いという。

 

質問するときの大事なポイントはニッコリ笑顔と、素朴な質問。

それだけで、相手の心はぐんと開きやすくなる。

どんなにテクニックを駆使しても、どれだけ高度な質問パターンを持っていても、相手に心から興味を持つ、という態度にはかなわない。

「相手に、興味・関心を持つこと」

その気持ちがあれば、どんな質問もいい質問になる。

「教えて、あなたがどう思っているか知りたい」

相手の心の内側に入るようなつもりで質問することが、相手のハートを少しずつ開いていく。

質問を上手にできるようになりたい、という心理は、相手から「あー、その質問は鋭い」「その質問は私の核心をついています」と思ってほしい、あるいは逆に「なんだ、その質問」と思われたくないというこちらの承認欲求。

承認欲求を退けたときにはじめて本当にいい質問ができるもの。

相手に興味を持つという態度をとった瞬間、ミラクルが起きて、状況は一変する。

 

質問はこちらのものではなく相手のためのものなのだ、という原点回帰が必要なのだ。

相手のための質問だからこそ、興味・関心を持って、口角を上げて質問する。

 

そして、誰かに質問することは、質問する人にとっても「自分の内側にもその質問を投げかける」ことにつながる。

相手に質問しておきながら、投げかけた問いは、会話の中で自分自身への問いかけにもつながり、思考が深くなっていく。

何かを問いかけることは、相手の思考を深めるだけでなく、自分の思考も深める作用がある。

改めてまっさらな気持ちで傾聴してみると、素朴な疑問が生まれてくる。

(こう思うと、コミュニケーションって本当に相互であり、むしろ想像以上に自分に矢印が向いていることにも気づかされる)

 

いざ質問しなきゃいけないとき、それは相手との関係を変えていくチャンスでもある。

不満を持った関係を続けるのか、勇気を持って関係改善をして新しいものを生むのかの選択なのだ。

知っておくと良い質問の種類とは?

Closed QuestionとOpen Question

  • Closed Question
    話し手の応答が限定されていて「はい」「いいえ」もしくは1語か2語で答えられるような質問
  • Open Question
    話し手の自由な応答を促すような質問(信頼関係ができていることが重要)

コレはけっこう有名なので、知っている人も多いと思う。

関係初期にはClosed Question、やりとりが進むとOpen Questionを使っていくと良い。

Open Questionがうまく使えて、相槌が適切に打てるようになると会話の幅はぐんと広がっていく。

過去と未来に解決方法を見出す、4つの質問技法

  • 過去の資源を確認する質問
    現状を把握し、過去の対処法から、その原動力になったものを見つけ出す
  1. 例外探しの質問→できていないことではなく、できていることに注目する質問
  2. サバイバル・クエスチョン→うまくいっていない状況でも頑張っている言動力を問う質問

 

  • 未来を想像する質問
    理想の状態をイメージし、違いを明確化したり、問題解決後の状況を具体的にイメージさせる
  1. スケーリング・クエスチョン→現状できていることを点数化して、何ができているか確認する。少し点数が上がったら、現状と何が違ってくるかを確認し、小さな一歩を踏み出すための質問
  2. ミラクル・クエスチョン→夜寝て朝起きるまでに、奇跡が起こって目標が達成できてしまったら何が起こるかを問う質問

 

カウンセリングのなかで使われる質問技法なのだけれど、そこにくる人は何かしら解決したい課題を持ち込んでいるはず。

だとしたら、その課題を解決するためのリソースが過去にあるのか未来にあるのか、あるいはどちらも使いつつ、その人の中に見つけていく、という試みだ。

そして、会話の中に「はい」を積み重ねること、日常会話でも肯定的な部分を引き出していく質問法を身に付けていくこと。

そうすると、本人の中に自信が芽生え、自己肯定感が高まっていく。

 

ただ、気をつけておくべきは、一緒に原因を探っていくのが必ずいい結果を生むとは限らない、と理解すること。

人間関係はすぐその場では結果が出ないのが普通。

少しずつ少しずつ変えていって、あるとき振り返ると変わっているもの、と思うくらいが良いのだ。

 

心からの微笑みと素朴な質問で相手に問いかけ、答えを引き出す。

そして、自分の解釈をできるだけ減らしつつ、相手のスケールに合わせて聴く。

次に来るのは、それらがもたらす「行動変容」について、です。